So-net無料ブログ作成
検索選択
前の15件 | -

鏡の中の儀式 [生地-クリスマス]

1007299.jpg

今朝は和服を着た。
私は夏こそ和装が好き。今は快適に着付けられる小物も充実しているので、からだ全体を覆うわりには風の通り道がある着物は、素材さえ選べば意外にも涼しいコスチュームだ。

季節やTPOに合わせて厳密な「お約束」があることも、捉えようによっては窮屈というより楽しみでもある。着物に合わせた下ごしらえ。半襟や足袋、帯まわりの小物を選び、姿見の前に立って季節を感じながらひとつひとつ身につけてゆくお支度の過程は、「ああ、私ってちゃんと丁寧に暮らしているんだわ…」という心地よい自己満足をももたらしてくれる。儀式というほど大げさではないけれど、程よく身の引き締まる時間。
濃紺の麻縮に合わせたベージュの紗献上帯は、低めの帯枕でお太鼓の山を作る。この時ばかりは姿見を覗き込むのは御法度。自分の手の感覚だけを信じたほうが上手くいく。作ったばかりのガラスの蓮の帯留めを通した冠紐は、きゅっと音がするまできつく結ぶ。
地球温暖化がもたらした四季の乱れに対応すべく「お約束」に多少の融通は利かせても、やっぱり盛夏だけに許される素材や小道具はこの時期にこそ堂々と身につけねば。

しかし残念なことに、半年前に受けた脚の手術のせいで、今はまだ正座をすることができない。障子を開け放った和室に背筋をぴんと伸ばして座し、庭を眺めながらひとり悦にいる至福の時間を少しでも早く取り戻せるように、そろそろ着物を着替えて、さて、今日も夕方のリハビリに励むことにしようか...

..................................................................................................

本日ご紹介の生地は、USA、moda社の"A Bery Merry Chriatmas"。クリスマスファブリックには珍しい重厚な色遣いの生地です。描かれているのは精緻な図柄を施されたボールオーナメントの数々。しっかりとした厚みとしなやかな張り感があり、大柄でもあるため、ハサミを入れるのがちょっと躊躇われて箱の中で眠ること3年。今年は思い切って帯に仕立ててみようかと思っています。用尺が足りないのでお太鼓のつけ帯になりますが、この独特な雰囲気はクリスマス時期の和装を引き立ててくれそうです。
深みのある色合いとコットンプリントとは思えないような上質な素材感、画面からではお伝えできないのが残念です。

nice!(2)  コメント(2) 

Restored [生地-クリスマス]

100725.jpg

立ち直りたいと思った。
何をもって「立ち直った」と定義するかはさておき、ただ痛切にそう思った。

ちょうど一週間前の日曜日。ウィーン・フィルのコンサートマスターであるライナー・キュッヒル氏の奏でるベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を聴いた。この世で一番好きなこの曲、これまで何度聴いたことだろう。しかしそのいずれとも違う、初めて耳にした華麗にして重厚なカデンツァ。たった4本の弦とは思えないほどの多彩で豊かな響きに、体が震え、心が震えた。
プログラムの二曲も、アンコールのチャイコフスキーもすべてヴァイオリン協奏曲という、信じがたいほどの贅沢な時間。音楽的な技術にとどまらず、長時間の演奏を支える体力や集中力。第一線で活躍する音楽家というものの底力をまのあたりにして、沸々と熱を帯びたような感動と氏への深い敬意を禁じ得なかった。

そして、
立ち直りたい…と、痛切に思ったのだった。

いろいろな出来事が次々と訪れたこの一年あまり。非日常の波の中を夢中で奔走した後、日常に戻ってきてからの私は、体力も気力も尽きた抜け殻だった。まさに身も心も「ひきこもり」になって過ごしてきた。過ごさざるを得なくもあった。
そろそろそんな日々を卒業しよう。決して無駄ではなかった、それなりに必要だった、でも息苦しかった日々を。

ベートーヴェンの力なのかキュッヒル氏の力なのか、はたまたStradivariusの魔力のなせる技なのか、とにかくあの夜のヴァイオリンの音色が私を覚醒させた。
あれから一週間。私の中で、私のまわりで、確実に何かが動き始めている。

..................................................................................................

一年三ヶ月ぶりにご紹介するのは、USA、Hoffman社のクリスマス音楽柄のシリーズから、ゴールド・赤・緑という王道のクリスマスカラーで描かれた華やかな生地です。ポインセチアやクリスマスホーリーに彩られたさまざまな楽器たち。この編成って…?!と考えるより、ひとつひとつの単独の音色を思い浮かべながらご鑑賞くださいませ。
「生地-音楽」のカテゴリにも入れたい生地ですが、ひとつのカテゴリしか選べないため、クリスマス優先にしました。
昨年のシーズンはお休みしていたChristmas Museumも、今年は再始動予定。どうぞよろしくお願いいたします。

nice!(1)  コメント(2) 

まゆりんバナナのお月さま [生地-スイーツ&フルーツ]

banana.jpg

まゆりんを抱っこして庭に出る。
星の瞬く夜の空には淡い黄色の三日月お月さま。
「きれいだね」と指差すと、「うん、バナナみたい!」と、あどけない声が答える。
「じゃあ取っちゃおう!」
「うん、食べちゃおう!」
ありがちな展開で二人は夜空に手を伸ばし、お月さまをもぎ取って食べるふり。
もぐもぐ、もぐもぐ。
「あ〜、美味しいね!」

次の日。
まゆりんはおやつにもらったバナナを斜めにかざしながら、
「まゆりんバナナのお月さま!」と、トコトコ走って見せに来た。
でも本物のバナナのお月さまは、皮をむかれてあっという間にまゆりんのお腹の中へ。
残った分は、私がもらうね。
ぱくぱく、ぱくぱく。
「さっちゃん♪」みたいに、まゆりんがバナナをまだ半分しか食べられなかった頃のお話…

まゆりんは私の姉の娘。
彼女が生まれた頃、まだ独身で若かった私には、
この世に誕生した自分と血縁のある小さな存在が、とにかく珍しくて面白くて愛おしかった。
今ではすっかり大人になって、華奢な体で真っ赤なSUVステアリングを操り、颯爽と通勤路を駆ける。
ずっとずっと幸せな人生をね! Happy Birthday まゆりん !!

...................................................................................................

本日ご紹介の生地は、USA、RJR Fabrics社、Farmer's Marketコレクションから、リアルなバナナの生地。Farmer's Marketは他にもさまざまな果物や野菜が登場する私の大好きなコレクションです。
昨年のクリスマスミュージアムショップのエコプロジェクトでは、エコバッグに仕立てて限定販売しましたが、このバナナやイチゴ、オレンジなどの鮮やかで美味しそうな柄は、あっという間にSold Outでした。私もひとつ愛用していますが、スーパーのレジでこの袋を広げると、ちょっと視線を集めていい気分です(^^)


わすれな草をあなたに [生地-ハーブ&ボタニカル]

forget.jpg

きっとこんな話だって、アッサリと忘れてしまうのよね。
昔話は昨日のことのように語るのに…。
曖昧に笑って、曖昧に逸らして、私の心が後ずさる。
果たされない約束に縛られるのはもうゴメンだもの。

花言葉は「私を忘れないで…」

そんなロマンチックな台詞を添えるつもりはないけど、
よろしかったら如何ですか?

...................................................................................................

本日ご紹介の生地は、USA、ROBERT KAUFMAN社の"Last Frontier 2"から、"Forget me not"(わすれな草)のプリントです。氷河、シロクマ、遡上するサケ、など、ワイルドなモチーフばかりの"Last Frontier"と題されたコレクションの中に、なぜこんな可憐な花の柄があるのか不思議に思っていましたが、わすれな草はアラスカ州の州花であることを知って納得しました。日本の庭にも咲く園芸種としても馴染みのある花ですが、北の大地に咲き乱れる野生のわすれな草はどんな表情をしているのか、この目で見てみたい気がします。

花の宴 [生地-さくら]

sakura00.jpg

さらりさらりと花吹雪
ゆらりゆらりの石畳

差し延べられたその腕に
気づかぬふりで梢を仰ぐ

宵の花冷え うたかたの夢
冷めないように 覚めないように

..................................................................................................

本日ご紹介の生地は、USA、Michael Miller Fabrics社の"Lovely Lanterns"。こちらのオーキッドピンクの他、クリーム色、水色、茶色などの色違い生地があります。
桜の枝に吊られてゆらゆらと揺れる提灯は日本のお花見風景ではお馴染みですが、こんなにたくさん吊られていてはせっかくの桜が主役の座を奪われてしまいそう…


花は桜木、人は武士 [生地-さくら]

sakura.jpg

夜の桜は美しかった。
見上げれば、満ちてゆく白い月を浮かべた空に、ふわりと漂うように。

その桜を背景にして、無形の位で佇む影がひとつ。上泉伊勢守信綱の立像。
時々その姿に無性に会いたくて、伊勢守の居城跡でもあるこの場所に足を運んでしまう。今夜も武道の稽古の帰りにふと寄り道してみたくなって、家とは逆の方向にステアリングをきった。折しも界隈の桜が満開を迎えんとする夜。

柳生新陰流を習い始めた頃、手に入る限りの上泉伊勢守に関する本を読み耽るうちに、私はものの見事に一気に恋に落ちてしまった。大半は小説であったから作りこまれたエピソードも多いかもしれないが、そこに生き生きと描かれていた人物像は、とにかく圧倒的な魅力の主だった。武士としても兵法家としても。人としても男としても。
この方と本当に出会ってみたかったなぁ…と、高い台座の上でライトアップされた端正な面差しを仰ぎつつ、今夜もまた叶わぬ片恋にひとり密かに苦笑いしてみる。

花は桜木、人は武士…
今、爛漫の桜を愛でることはできても、この世にもう武士はいない。武士の如き人も傍らにはいない。
身も心も、強くなりたい。

..................................................................................................

本日ご紹介の生地は、夜桜を描いたようなコットンプリント。手元にある50cmほどの生地のミミにはどこにもクレジットが記されていないため、残念ながら素性が不明ですが、生地質の良さや彩色の状態から、恐らく国産生地ではないかと思います。深味のある黒地に散りばめられた満開の桜。鮮やかなピンクの花とぼかした墨のような影が、不思議な立体感を醸し出しています。

夢の内にも... [生地-アート]

faily01.jpg

すぐ近くに桜の名所を控える家に住むようになって20年余り。改めて出掛けなくても我が家に居ながらにしてお花見のできる、ちょっとゼイタクな環境に暮らしている。
私の住む街の桜は、ニュースで盛んに流れる都心あたりの桜より、ほんの少し遅れて開花する。今日の暖かさでようやく開花に勢いがついたが、まだ満開というには至らず、本格的なお花見はこれからという状況だ。

今年はその近所の桜がまだ蕾のうちに、ずいぶんたくさんのお花見をさせていただいた。netのなかで。
いろいろな方のblogを訪ねていると、この季節はあちこちで美しい桜の写真と出会うことができる。どの方も実に生き生きとした桜の表情を捉え、それぞれに素晴らしい。
夜更けに仕事を片付けて、気晴らしに「net花見」をしていると、夢の中にも桜が咲いていたりする。淡いピンクの雲のように頭上に広がる枝。ふんわりと寄り集まった花の群れ。夢から覚めても、その光景がいつまでも鮮明に残っている。

宿りして 春の山辺に 寝たる夜は 夢の内にも 花ぞ散りける
(山寺にまうでたりけるによめる 紀貫之)

古今和歌集から千年以上も経った今。
山寺ならぬnet詣でお花見を堪能した夜は、
私の夢の内にも 花ぞ散りける...

..................................................................................................

本日ご紹介の生地は、USA、MICHAEL MILLER社、 FLOWER FAIRIESから、空の上に舞う花びらと妖精たちのプリントです。精緻なボタニカルアートと愛らしい妖精たちの姿という夢のように美しい世界。シンシア・メアリ・パーカーさんのイラストが生地になっているのを知ったときは、夢中になって集めたものでした。
桜と妖精が描かれたイラストもありますが、あいにく生地にはなっていないようです。こちらの柄は桜の花びらが舞い散るようにも見えますが、実は右側の妖精が手にしているのはアーモンドの花で、下の二人の妖精が腰掛けているのはリンゴの花です。この時期だけは特別、桜の花だと思って眺めてみても許されるでしょうか(^^)...

マシンガン・ランデブー [生地-キッズ]

car.jpg

さあ、ひと仕事終わった!
こんな日は春休みで朝寝坊しているコイツを叩き起こしてドライブに行くのが一番。
何欲しい?服?バッグ?と声をかければ、すぐさま飛び起きて超特急で身支度完了。
娘、この愛しきイキモノ。

さあ、できるだけ遠くのショッピングモールまで行こう!
春霞の景色を眺めながら高速道路をどこまでも走ろう。
陽気なお喋りが、サイドシートから弾丸のように絶え間なく飛来する。
激論交わしたりお腹を抱えて笑ったり。
このマシンガントークにつき合えるうちは、まだまだ私も大丈夫よね!
娘、この愛しきイキモノ。

さあ、今日は思い切り遊ぼう!
決して私の所有物ではなく、違う人格、違う感性。でもDNAが魂を共鳴させる。
反抗期も通り越して、親離れ子離れもそこそこ済んで、今はとびきりの蜜月だ。
こんな時間を思い切り楽しまない手はない! 本気で巣立っていくその日まで。
娘、この愛しきイキモノ。

..................................................................................................

本日ご紹介の生地は、USA、Timeless Treasures Fabrics社のKidsコレクションから、City Streetsです。愉快な街並み、ユニークな車、はっきりとした色合いのイラストは、いかにもお子さま方が喜びそうな生地。折しも新入園・入学シーズン。絵本バッグやシューズ入れを作っても、楽しい作品ができそうです。

とうに暁を過ぎても… [生地-生き物いろいろ]

uguisu.jpg

いったい… ここは… どこ… ???

深山幽谷かと思うばかりの鳥のさえずり。遠く近く、低く高く。
うつらうつらと聴いていると、今度はごく間近にウグイスの声。このちょっと変わった鳴き方、これはウチの梅の老木にやって来る客人(客鳥?)だ。
そう気がついてはっきり目が覚める。早朝ではない。ごく朝らしい時間の朝でもない。真っ当な主婦なら、ちょうど洗濯物を干し終えているくらいの時間帯だ。
徹夜続きの仕事明け。家人ですら私を起こさないようにそぉっと身支度をして出掛けて行ったというのに、ウグイスの声は遠慮なく私をたたき起こす。ひとしきり謳ったあと、隣家の庭に移動してまた独特の節回しを奏でている。
だいぶ上手になったね…と、実に風流なこの環境をベッドに居ながらにして堪能しているうちに、再び誘われるがままに惰眠に落ちてゆく。

いったい… ここは… どこ… ???

のどかな深山幽谷で心地よくうつらうつら。
春眠暁を覚えず、だなんて、ホントよく言ったもんだわ・・・

...................................................................................................

本日ご紹介の生地は、USA、CLOTHWORKS社の"Cherry Blossom"コレクションから、桜の枝に留まる愛らしい小鳥のプリントです。優しい色遣いから女性の描いたものかとばかり思っていましたが、デザイナーのChris Chunさんは欧州やオーストラリアなどでもご活躍の男性でした。中国伝統的な手法で描かれているという自然界のモチーフが独特の雰囲気を醸し出すこのコレクションの中でも、一番春らしさの伝わってくる生地です。


燦めきの日々 [生地-ファッション]

girls.jpg

受話器の向こうで聞き覚えのない苗字を名乗る声には、どこか懐かしい響きがあった。
「○○ちゃんよね?」
今はもう誰も呼ぶことのない私の古い愛称で問われたとき、その声の主が誰であるのかが一瞬にしてわかった。
学生時代をともに過ごした友人のKちゃんだった。
卒業後遠く離ればなれになって連絡を取り合う機会を逸したまま、もう二十数年。
私の旧姓とうろ覚えの出身地を頼りに、とにかく実家を探し当てれば私と連絡がつくだろうと、同じ苗字の家に次々にかけてみたという。
不穏なご時世、「何だこの不審な電話は?!」と、何軒もの家にさんざん訝しがられながら、ようやく私の実家に行き当たって、母に自分の存在を認めてもらえたときは心底ホッとしたそうだ。

それから半月。約束した再会を果たすために私の住む街を訪ねてきてくれた彼女と、駅で待ち合わせをした。
長い歳月の中ですっかり変わっているに違いないお互いの姿を見つけられるかどうか…、という思いは杞憂だった。改札口に流れてくる人の波の中に私はすぐ彼女の姿を見つけることができ、駆け寄る私に彼女もすぐ気づいた。
微笑んだ彼女は二十数年前と同じ瞳をしていた。目尻に寄るシワが違うだけ。それはきっと私だって同じこと。

果たして話題なんて合うかしら…、それもまた杞憂であったことが、並んで歩き出してすぐわかる。
お互いの「今」の話から始まって、いつしか遠い日の思い出話に花が咲く。
ランチのテーブルに着いても、もう怒濤のように昔話は尽きない。
あんなことがあったね、こんなこともあったね、etc...
私たちは初めて親元を離れて暮らす不安の中で寄り添うように親しくなり、やがて一人暮らしの気楽さや自由をともに謳歌した。学生という身分の様々な特権に浴し、時にあらがい、結局は守られていた素敵な時代。
二十数年のブランクをものともしないほど、彼女と過ごした燦めくような青春の日々が色鮮やかな記憶となって迸り出てくる。
彼女が私を探しだしてくれなかったら、私は自分の人生の中にそんな時代があったことを改めて思い出す機会もなく、雑多な日常の中でただ毎日を無難に過ごすことだけに囚われながら暮らしていったことだろう。

自分がどんな道を歩いてきたのか、忘れていた自分の姿を思い出してみることは悪くない。
どんなふうに笑い、どんなふうに怒ったのか。
どんなことが好きで、どんなことが苦手だったか。
どんな友がいて、どんな恋をしたのか…

Kちゃん、私を探してくれてありがとう!
貴女が探し出してくれたのは、「今」の私だけじゃなかったわよ。
また絶対、会おうね!

...................................................................................................

本日ご紹介の生地は、USA、General Fabrics社の"Best Friends Forever"コレクションから、人気のデザイナーTammy de Youngさんの描いた元気いっぱいのお嬢さんたちが並んだ生地。身を包むファッションの流行はともあれ、ぐっと口角を上げて陽気な笑顔の彼女たちを見ていると、つられて笑顔になってしまいます。

Close to you [生地-フェミニン]

marmaid.jpg

この身だけそこに行くことはできても
心まで連れて行くことはできません。

それでもいいですか?

言葉を交わすことはできても
心まで寄り添っていけません。

それでもいいですか?

どんな光も音も想いも届かない深海に降りていくように、
すべての五感を閉ざし、有機体であることを忘れて…

それでもいいなら参りましょう。

心の器は空っぽでも、私は笑顔を作れます。
心に支えがなくても、私は躓かず歩けます。

...................................................................................................

本日ご紹介の生地は、USA、Robert Kaufman Fabrics社の"Shimmer of the Sea"コレクションから、深海の人魚たちを描いたプリント。以前にもご紹介したことがあるSandra Banavaさんのデザインです。パープル系の他、ブルー系もありますが、いずれも深い海の底の幻想的なモチーフをただ一色の濃淡で描きながら、奥行きのある独特の世界を感じさせてくれるようです。"海のきらめき"という名の通り、このコレクションにはもっと明るく多彩な色づかいで描かれた生地もありますので、またご紹介してまいりたいと思います。

レモンの追憶 [生地-スイーツ&フルーツ]

lemon.jpg

「H君は私の初恋だったなぁ…」
思い出し笑いを交えながら娘が呟く。

覚えてるわよ、私も。確か四年生の時だったわね。「H君が転校しちゃうんだ…」って、玄関に入るなりペタンと座り込んで、えーんえーんと声を上げて泣き出したあなた。赤いランドセルの肩がいつまでも小さく震えていて、つい私ももらい泣きしちゃった。
でも、その恋の詳細を聞くのは今日が初めて。ふうん、そんなふうにして両思いになったんだ。うふふ、そんなロマンチックなエピソードもあったんだ。
あれから十年、H君は今頃どんな素敵な青年になっているのかな…

「私の初恋は小学校二年生の時…」
つられて語り出した私の話を、なぜか今日の娘は素直に聞いている。母親の若い頃の話など、いつもは興味も示さないのに。

むか〜し昔、私も赤いランドセルを背負った小さな女の子で、背の高い上級生の男の子に恋をした。白い体操着の胸に書かれた彼のファーストネームのちょっと難しい漢字を私が読めたとき、「へぇ、おまえ、すごいな!」と言いながら、くしゅくしゅって私の髪を撫でてくれた。正義感が強くて優しくて、ドッヂボールが上手で、いつも私のヒーローだった。
あれから ン十年、T君は今頃どんな素敵な「オジさん」になっているのかな…

娘の初恋は彼の転校で、私の初恋は私自身の転校で、それぞれ初めて味わう切ない痛みとともにあっけなく幕を降ろした。
でもこんなふうに鮮明に思い出して語れる初恋の記憶があるなんて、私たちはなんと素敵な宝物を持っているのだろう。

日だまりの廊下に母娘ふたりで脚を投げ出して過ごす昼下がり。甘酸っぱいコイバナに花を咲かせながら、お互いに手伝いっこして仕上げたネイルももうすぐ乾く。
いつかあなたも母になって、こんなふうにH君の話を娘に語って聞かせる時がくるのかな…

...................................................................................................

本日ご紹介の生地は、USA、RJR Fabrics社の"Farmer's Market"コレクションからレモンの生地。様々なフルーツや野菜を題材にした同コレクションには、この生地とは別に鮮やかな黄色のレモンを描いたものもありますが、ここはやはり"青いレモン"を登場させてみました。じっと眺めていると、きゅっと酸っぱい味と芳香が広がっていくようです。


恋するレオン [生地-イヌ]

090319.jpg

おかえり! 一日の終わりをホッとした顔で家路につく君は、
ボクの家の前を通り過ぎながら、いつも小さく手を振ってくれる。
もしもボクが犬じゃなかったら、お疲れさま、って微笑み返せるのに…

おかえり! ああ、今日は両手いっぱいの荷物。
マーケットでたくさん買い物してきたんだね。
もしもボクが犬じゃなかったら、手を貸してあげられるのに…

おかえり! どうして俯いて歩いているの?
辛いことでもあったの? 悲しいことでもあったの? 頬に涙の跡がある。
もしもボクが犬じゃなかったら、なぐさめてあげられるのに…


おはよう! 気持ちのいい朝だね。
散歩に出かけるボクに駆け寄って、君が首筋を撫でてくれた。
もしもボクが人間だったら、こんなシアワセ、きっと味わえない…


..................................................................................................

本日ご紹介の生地は、USA、ROBERT KAUFMAN社の"whiskers & Tails"。強面のワンちゃん、ちょっと愛嬌のあるワンちゃん、愛くるしい瞳のワンちゃん、と、タイトル通りヒゲとシッポの紳士淑女が勢揃い。リアルな柄なので、あ、うちの子に似てる!などというお声も聞こえてきそうです。

ことばの色彩 [生地-その他]

090316.jpg

ほんの数メートル先の舞台にその青年は立っていた。
私の席は、スタンドマイクがちょうど彼の口元を覆い隠してしまうくらい真正面。
「風のクロマ」の名の通り、視覚だけでなく聴覚にさえも色彩が溢れて届いてくるように、誠実で謙虚で一生懸命。素敵な素敵なライブだった。

3年ほど前、「これ、絶対聴いてね」と娘に手渡されたアルバムレミオロメンとの出会い
以来、車の中にもiPodにも、彼らの全ての曲が入っている。
彼らの曲を聴いていると、歌というものの中に息づく美しい「詞(ことば)」に感動する。
ずっと若いときに出会っていても、きっと好きになっていただろう。
でもこの歳になったからこそ、何か深く深く響いてくるものもある。
今日はそんな思いを改めて間近に感じてきた。

私の住むこの土地大学時代を過ごしたという藤巻くん。
もしかしたらその頃、もっと近い距離ですれ違ったこと、あったのかも・・・

..................................................................................................

本日ご紹介の生地は、USA、Timeless Treasures Fabrics社の"A Wing and a Prayer"コレクション、Toni Kay and Jenny Foltzによるデザインカラフルなドットのプリント。
背景に描かれた翼のような模様。翼も明るい色彩も、今日のキーワードです。

お嫁ちゃんが来た! [生地-カエル/Kero Colle]

090314.jpg

「コゲ太郎」はチョコレート色した身の丈50cmほどのカエルのぬいぐるみ。一ヶ月前、娘が父親に贈ったバレンタインデーのプレゼントだ。
ピクルス・ザ・フロッグという立派な名前を持つが、バレンタイン仕様の彼をひと目見て、夫はコゲ太郎と名付けた。確かに焦げちゃったカエルにも見える。

夫はず〜っと昔からカエル好き&カエルグッズコレクターであり、娘は間もなく成人する今も相変わらずぬいぐるみが好きである。ゆえに我が家にはカエルのぬいぐるみが大量に転がっている。しかも、どのぬいぐるみもあろうことか言葉を喋る。

ぽふぽふと柔らかい手に肩をたたかれて、夫によく似た声のカエルに「おかあさん、なんか飲みたいなぁ…」と言われれば、「うん、お茶でも淹れようか」とついうっかり答えてしまう。娘によく似た声のカエルに「プラグラのニット、春には必須だよね〜♪」と同意を求められれば、「そっか、じゃあ今度の休みに見に行ってみようね」と答えざるを得ない雰囲気に巻き込まれてしまう。
面と向かって言えば素気なくかわされるのをわきまえた彼らの腹話術攻めは、他にもバリエーションがある。
ケンカした後の微妙な無言期間に幕を降ろすキッカケも、なかなか素直になれないときの軌道修正も、愛嬌のある顔を向けて手足をちょこちょこ動かしながら代わりに一言喋ってもらって、とりあえず有耶無耶のうちに和平交渉を成立させようとするパターンだ。確かに緊張は緩和してこっちも少し寛容になる。でもいつでもその手に乗ると思うなよ。。

ぬいぐるみは幼い子供のための愛玩具とは限らない。オトナの社会にもちゃんと貢献している。そんなのってウチだけかもしれないけれど(汗)…

さて、今夜のコゲ太郎は、「腹話術師」たちの力を借りずとも喋り出しそうなくらい嬉しそうな顔をしていた。彼に可愛いお嫁さんが来たのだ。
ホワイトデーのお返しにやって来た鮮やかな黄色のピクルス・ザ・フロッグ。同じ姿かたちをした二人。並べて座らせるとチョコバナナ風のカラーコーディネイトで実にお似合いのカップル。
「おかあさん、末永くよろしくお願いします」と、娘によく似た声で喋るバナナちゃんに三つ指をつかれる。カエルの、ましてやぬいぐるみの姑になどなった覚えはないが、我が家の団らんを支えてくれるメンバーの一員に加わった彼女に、歓迎の意を表して私も座して挨拶を返す。

ようこそ、バナナちゃん(まだ仮称)、こちらこそよろしくね!

..................................................................................................

本日ご紹介の生地は、USA、Timeless Treasures Fabrics社のカラフルなカエルたちがぎゅ〜っと集まった楽しいプリントです。
2005年の生地ですが、たくさん買い込んで、毎年少しずつトートバッグポーチに仕上げてきました。この生地でアロハシャツ作って!とのリクエストもある大人気の生地です。確かに面白いものができそうですが… 
同じシリーズで手元に猫ちゃん柄もありますが、この色調と雰囲気はカエルのほうが一歩リードしているような気がします。

前の15件 | -

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。