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燦めきの日々 [生地-ファッション]

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受話器の向こうで聞き覚えのない苗字を名乗る声には、どこか懐かしい響きがあった。
「○○ちゃんよね?」
今はもう誰も呼ぶことのない私の古い愛称で問われたとき、その声の主が誰であるのかが一瞬にしてわかった。
学生時代をともに過ごした友人のKちゃんだった。
卒業後遠く離ればなれになって連絡を取り合う機会を逸したまま、もう二十数年。
私の旧姓とうろ覚えの出身地を頼りに、とにかく実家を探し当てれば私と連絡がつくだろうと、同じ苗字の家に次々にかけてみたという。
不穏なご時世、「何だこの不審な電話は?!」と、何軒もの家にさんざん訝しがられながら、ようやく私の実家に行き当たって、母に自分の存在を認めてもらえたときは心底ホッとしたそうだ。

それから半月。約束した再会を果たすために私の住む街を訪ねてきてくれた彼女と、駅で待ち合わせをした。
長い歳月の中ですっかり変わっているに違いないお互いの姿を見つけられるかどうか…、という思いは杞憂だった。改札口に流れてくる人の波の中に私はすぐ彼女の姿を見つけることができ、駆け寄る私に彼女もすぐ気づいた。
微笑んだ彼女は二十数年前と同じ瞳をしていた。目尻に寄るシワが違うだけ。それはきっと私だって同じこと。

果たして話題なんて合うかしら…、それもまた杞憂であったことが、並んで歩き出してすぐわかる。
お互いの「今」の話から始まって、いつしか遠い日の思い出話に花が咲く。
ランチのテーブルに着いても、もう怒濤のように昔話は尽きない。
あんなことがあったね、こんなこともあったね、etc...
私たちは初めて親元を離れて暮らす不安の中で寄り添うように親しくなり、やがて一人暮らしの気楽さや自由をともに謳歌した。学生という身分の様々な特権に浴し、時にあらがい、結局は守られていた素敵な時代。
二十数年のブランクをものともしないほど、彼女と過ごした燦めくような青春の日々が色鮮やかな記憶となって迸り出てくる。
彼女が私を探しだしてくれなかったら、私は自分の人生の中にそんな時代があったことを改めて思い出す機会もなく、雑多な日常の中でただ毎日を無難に過ごすことだけに囚われながら暮らしていったことだろう。

自分がどんな道を歩いてきたのか、忘れていた自分の姿を思い出してみることは悪くない。
どんなふうに笑い、どんなふうに怒ったのか。
どんなことが好きで、どんなことが苦手だったか。
どんな友がいて、どんな恋をしたのか…

Kちゃん、私を探してくれてありがとう!
貴女が探し出してくれたのは、「今」の私だけじゃなかったわよ。
また絶対、会おうね!

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本日ご紹介の生地は、USA、General Fabrics社の"Best Friends Forever"コレクションから、人気のデザイナーTammy de Youngさんの描いた元気いっぱいのお嬢さんたちが並んだ生地。身を包むファッションの流行はともあれ、ぐっと口角を上げて陽気な笑顔の彼女たちを見ていると、つられて笑顔になってしまいます。

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コメント 2

masayuk

気持ちわかります。
思い出は美しく育って行きますが、その思い出を振り返る機会が
なかなか見つけられないものですが、旧友をきっかけに、その過去に
戻ったり、懐かしんだり、笑ったりすることが出来たりしますね。
そして、現実とのギャップに愕然としたり、納得したり・・・・楽しいものなんですよね。
by masayuk (2009-03-31 08:20) 

Fumiko

masayukさん、本当にそうなんですよね!
ひとりでふと思い出す過去より、旧友と語りあう過去は、何百倍も生き生きと楽しい思い出ばかりでした。素敵な素敵な、人生の財産です。
by Fumiko (2009-03-31 22:33) 

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