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春の月夜はワルツを踊る [生地-生き物いろいろ]

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まんまる月のうさぎです。
今宵の空は花曇り。
おぼろの雲が紗をかけて、
しっぽも耳もボンヤリけむる。

餅つきばかりしていては、ずしりと腕が痛みます。
ときには杵を雲居にゆだね、お祭り騒ぎもしてみたい。
お花飾りのおめかしで、誰かとワルツも踊りたい。

まんまる月のうさぎです。
姿かたちがいつもと違う。
雲の晴れ間に満月が、
顔を出したら眺めてごらん。

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本日ご紹介の生地は、オークションで入手したカットクロスです。コットンの変わり織りに和テイストのウサギさん。全体に散りばめられて描かれているのは、桜ではなく今が盛りの梅の花のようです。
ミミ(ウサギのではなく生地の^^;)がついていないので詳細はわかりませんが、調べてみたところ多分USAのKona Bay Fabrics社製の生地ではないかと思います。その名の通りハワイにありますが、日本の伝統的なモチーフのデザインに意欲的に取り組んでいるメーカーです。

ポケットの惨劇 [生地-スイーツ&フルーツ]

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ブザーが鳴った洗濯機を開けた瞬間、何かイヤ〜な気配に襲われる。
一枚、二枚と中身を取り出すうちに、その不吉な気配の正体が明かされてゆく。

またやってしまった!!!

洗い上がった衣類のあちこちにこびり付く白い細かな物体。今回は誰のポケット? 
放り込む前に全部確かめたはずなのに、私のチェックをかいくぐったティッシュペーパーが1枚。いや、数枚あったかも。約45分のrevolutionの悲惨なる結末。
洗濯カゴに入れる前に、ちゃんとポケットの中身を出してね、と、いくら言っても馬耳東風のヤツら。花粉飛び交う今日この頃、彼らのポケットには十分注意をしていたつもりだったのに・・・

幼い頃はお菓子も要注意だった。ポケットの中にはビスケットがひとつ♪
お気に入りカットソーを襲ったボロボロ、ドロドロに泣かされた。泣かしもした。そんなことが確か2、3回あった。
今日のようなティッシュペーパー騒動なら、私の人生で10回はある。こんなに経験豊富なのは私ぐらいだろうか。
少し乾かしてからたたき落とす。広げてエチケットブラシをかけまくる。掃除機も使って吸い取ってみる。駄目なものは根気よくもう一度手洗いで取り去るetc...
いずれにしてもこの後、ものすごい時間と労力を私に強いるのだ。

あ"〜〜〜〜んっ!! 忙しいのにさっ(;_;)

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本日ご紹介の生地は、USA、Timeless Treasures Fabrics社のスイーツ柄シリーズから、黒地のチョコチップクッキーを全面に配した美味しそうなコットンプリント。思わずひとつつまんでしまいそうなリアルさです。
くれぐれもポケットの中にはお入れになりませんように。。

静寂のエチュード [生地-音楽]

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左手の爪が微妙に伸びかけている。そういえばもう4日も楽器を触っていない。
ゴメンナサイ! ・・・ 心の中でMs.Greenに詫びる。

不肖の教え子の私でも、Ms.Greenは見放したりはしない。
けれど私の手が彼女の前で無様に止まる度に、そのキュートな表情が急に悲しそうに翳るのが心苦しい。

どうしても貴女の教えを受けたくて、まるで恋の告白のようにドキドキしながら指導を請うたあの日のときめきを、忘れたわけではないけれど…
ただ貴女に誉められたくて誉められたくて、懸命に練習に励んだ頃の情熱を、失くしたわけではないけれど…

雑多な日常が私の時間を貪るように奪ってゆく。。
どこか深い奥底に一旦我が身を沈めてじっと時を過ごさなければ生み出せない類の仕事が、私の心身を執拗に拘束する。
ひと日のすべてを片付けてこうして一段落した頃には、決してボウイングなどできない住宅環境も恨めしい。
でも…
そんなことはどれも言い訳に過ぎないと彼女は微笑むだろう。私の「本気」がどんな形でどんな強さをしているか、しっかり見定めるように小首をかしげながら。

"音が出せない時間でもね、ちゃんとこうして左手だけで練習するのよ"
レッスンの帰りがけにはいつも念を押すように、Ms.Greenは飴色の美しいニスを纏った愛器を構え左指を軽やかに操ってみせる。弦は鳴らない。でも指先が弦を離れるほんの一瞬だけ微かな響きが空気を震わす。
そんな幾つもの静謐な夜をも越えて育まれてきた貴女の豊かな音色のように、いつか私のヴァイオリンも謳ってくれるだろうか。
今夜は貴女の言いつけを守って、音のない旋律を奏でてみよう。

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本日ご紹介の生地は、USA、Timeless Treasures Fabrics社のMUSICシリーズから、様々な楽器が描かれた生地です。ヴァイオリンやチェロ、ピアノにハープ、楽器の図柄を眺めているには楽しいのですが、やはり少し大柄すぎて何に仕立てたら良いのかわからず待機中の生地。同じタッチの楽器をパネル状に並べた柄もあり、いずれも音楽生地好きの皆さまには好評のようです。

ヨヒョウはドアを開かない [生地-生き物いろいろ]

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決して覗いてはいけません…と、改めて言った覚えなどないのに、
男はじっと背を向けて、頑なに扉の隙間を覗こうとはしなかった。

あ〜あ、参っちゃったわよ。もう抜く羽根もありゃしない・・・

女はすっかり貧相に痩せ細った我が身を独りさすりつつ、
とうとう飛び去るキッカケを掴めずに過ごしてきてしまった長〜い歳月を振り返ってみる。

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本日ご紹介の生地は、USA、Hoffman Fabrics社の"Nara Garden"シリーズから、松林を背景に舞う鶴のプリント
USAコットンによく見る東洋をテーマにした柄は、どこか根本的に勘違いしているようで苦笑を誘われてしまうものも少なくないのですが、Hoffman社のこちらのシリーズは見事な"日本観"を展開しているように思います。古都、奈良にインスパイアされて描かれたというだけあって、現在の日本では失われてしまったような美しい情景やモチーフが数多く登場し、サンプルを眺めていると、遙か彼方の米国で生まれた生地であることをいつの間にか忘れてしまいそうです。

ご試着エクササイズ [生地-ファッション]

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Macの前に座ったまま仕事に没頭する日々が続いている。
外出は必要最低限。緊張を要する相手とのアポイントもない。
かくして私の体型は微妙な変化を遂げ始める。

あまり食べないので太りはしない。
あまり眠らないので太りはしない。
そう。確かに太ってはいない。体重なんてむしろ若干減少気味。
それでもカタチが変化している。
このあたり、そのあたり。気のせいなどでは決してなく。

不摂生と運動不足で筋肉が落ち始めると、"引力"という名の誘惑にすぐさま身を委ねたがるお年頃の私のカラダ。困ったもんだ・・・

一段落したらとりあえず全ての電源をOFFにして、春のワードローブを探しに出かけよう!
サラリと着心地の良さそうな薄手のニット、軽やか素材のジャケットやスカート
ニコニコ顔の店員さんが次々勧めてくれる服を片っ端から試着してみよう。
「よくお似合いですよ〜」と、彼女はきっと接客マニュアルに従ってベタ誉めしてくれるだろう。
だけど全身を映し出す試着室の大きな鏡だけは、私にしっかりと現実を諭してくれるはず。
このあたり、そのあたり。早く元に戻さなきゃ、カッコ良くなんて決まらないよ。

I know ! すぐに何とかしてみせる。
メラメラと燃える闘志。最高に効くエクササイズは、その瞬間から始まるのだ。

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本日ご紹介の生地は、USA、ROBERT KAUFMAN社、Kimberly Polosonデザインによる"Forget Me Not"シリーズの1枚。ちょっとドキリとするような、クラシカルコルセットを着けたトルソーがセクシー。コラージュ・アーティストさんの作らしいユニークな柄です。
ここまでグラマラスなボディを手に入れたいなんて大それたことは、ゆめゆめ思ったりいたしませんが…


枕辺の人 [生地-その他]

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「死にたいなんて言っちゃ駄目だよ、桜の咲く頃にはきっと元気になれるから…ってね、そこに立って私に言ったのよ。」
ベッドの枕元の白い壁を、細く骨張った指で差しながら義母が言う。
「へえ。誰が?」
「うん、ぜんぜん知らない男の人なんだけどね…」

昨年から突然痴呆の症状を呈しはじめた義母を介護している。
介護とは言っても、持病の内臓疾患の悪化も重なって入院しているので、病室を訪ねる午後の間だけ身の回りの世話をしたり話し相手をしたりするのが今のところの私の役目だ。
虚ろな目で何もかもわからなくなってしまった入院当初と比べてずいぶん落ち着いてきたものの、日によって状況は変わるし話の内容も思い切り怪しい。
今日はわずか30分くらいの間に、もうこの話を3回もしている。

枕辺に現れた妄想の中の誰かに、義母はそんな慰められ方をしていたのだという。喜怒哀楽の表現も曖昧になった義母が、独り天井を見つめながら「もう死んでしまいたい」などと考えることがあったのかと思うと、驚きとともに胸が痛んだ。

「でもねぇ、その人さっき慌てて帰っちゃったのよ。」
「そっか。会いたかったな、私も。」

こんな穏やかな会話をしているとき、義母は童女のような笑顔を見せる。
ああ、今日は良かった。溌剌と元気だった頃の表情とは違うけれど、人は笑顔になるとき必ず心のどこかに灯りが点っているのだ。
義母さえも知らないという枕元に現れてくれたその男性に、私は心の中で感謝を捧げずにはいられなかった。

結局その話を10回以上も繰り返し聞きながら一緒の時間を過ごし、また明日ねと別れを告げて外に出る。病院の駐車場には大きな桜の木。まだ蕾と呼ぶにはあまりに小さい無数の膨らみが、夕暮れの空にさしのべるように延びた枝々のシェイプを曖昧にぼかし、どこか優しいシルエットに見せている。

あれは義父だ…

梢を見上げていた私の胸の中に、不意にコトンと音を立てるようにその確信がおさまった。
もう20年近く前に亡くなった義父が、死にたいと呟く妻を心配して訪ねてきたのか。あるいは、もう記憶や思索の大半を闇の彼方に置き去りにしてきたはずの義母が、懐かしい夫のおとないを妄想のうちに求めたのか。
痴呆とは何? 正常であることとは何? 人の想いとは何? 
肉体も精神も、衰え、やがては滅びてゆく。こがれるほどに人を慕った想いは、そのときどこへ流れ着いていくのだろう。
しだいに闇の中に溶け込んで見えなくなる桜の枝先のように、私には答えなど見つからない。

多分義母はこんな日々を重ねながらゆっくりと、でも確実に人生の終焉へ向かっての道を辿ってゆくのだろう。
桜が咲く頃になっても回復など望めない。
だから桜が咲いてしまったら、今度は違う何かでまたお義母さんを励ましに来てあげてね、お義父さん。

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本日ご紹介の生地は、USA、Robert Kaufman Fabrics社の"Whispering Woods"シリーズから、空に浮かぶ木立のシルエットが美しい幻想的なプリントです。デザイナーのSandra Banavaさんによるこのシリーズは、美しい自然のひとコマを切り取ったようなダイナミックな構図から繊細なモチーフまで、鮮やかなのに優しい色彩で描かれた魅力溢れる生地たちばかりです。
こちらの生地は夜明けの空を描いたもののようですが、私の見た情景に重なるものがあったので…


迷彩服を心にまとい [生地-カエル/Kero Colle]

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大地の色に紛れて身を隠す戦場の兵士のように、
何気ない微笑と会話に紛れて心を隠す。

見抜けまい。射抜けまい。私のどこにも的は見出せまい。
ありきたりの平穏な気配に同化して、悪意に満ちた照準を躱す。

何を挑んでこようとも、あなたとなんか闘わない。

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本日ご紹介の生地は、USA、Timeless Treasures社の迷彩のカエル柄プリント。こちらはグリーン系ですが、他にカーキ系、黒系の色違いもあります。
6月に信州松本で行われる「かえるまつり」に、Christmas Museum Shopは今年も出展を予定しています。全国から集まるカエルマニアの皆さまには、やはり個性的なUSAコットンが人気。この生地は今年の目玉となりそうな予感が…

ローズバッツを数えて [生地-バラ]

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雪が舞っている。春の声を聞いた途端に寒さが戻ってきたようだ。
風邪をひきそうなギリギリの体調はカフェインを受け付けない。こんな夜は香り優しいハーブティーに限る。

ホコリっぽく妙なクセがあって不味いもの…という認識を劇的に変えて私をハーブティーのファンにしたのは、モーリス・メッセゲさんのハーブとの出会いだった。もう20年近く前のこと。
健全に育った植物を丁寧に乾燥させて作られたティーは、植物本来の持つ力を凝縮させて上質な芳香を放つ。眠れぬ夜にも眠りたくない夜にも、心を温め心を奮い立たせてくれる。
私が一番好きなのは、リンデンの花芽と柔らかなミントとセンティフォリアの蕾の3種のブレンド。オールドローズのセンティフォリアは晩春になれば私の庭にも咲く。しかしメッセゲさんのセンティフォリアはフランス育ちの血筋の違いか香りのレベルがウチの子とは全然別格なのだ。
このブレンドは1回分を個別に包装したものも手に入るが、私はそれぞれを別々に買い置きしてその日の気分で少しずつ配合を変えたりして楽しんでいる。センティフォリアの蕾は今夜は4つ。いつもよりひとつ多いのは、今日一日の嬉しいことと嬉しくないことの精算がマイナス1だったからその穴埋めに。
乾燥させた固い小さな蕾は、硝子のティーポットの中で少しだけ花びらをゆるめながら漂うように沈んでゆく。眺めて待つのも至福の時間。あたたかな芳香と味わいは、マイナス1を補って余りあるシアワセな夜を運んでくれる。

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本日ご紹介の生地は、USA、RJR Fabrics社の"Bella Rosa"。美しいバラと訳されるようですが、ドイツ原産でこの名を持つ品種の濃いピンク色のバラもあります。
Debbie Beavesさんのデザインする生地には、花好きの私には垂涎の的とも言うべき素敵な柄がいっぱい!彼女ご自身のお仕事や生き方にもまた心惹かれる魅力があるから尚更でしょうか。彼女のThe Violet Patch社のサイトには"Single Rosebuds"という名称で掲載されている生地ですが、今回は生地のミミのプリントに記された名前でご紹介してみました。

私を公園まで連れてって [生地-キッズ]

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ぶら下がりたい。どこか高いところに…

何か比喩的な意味で言っているのではなく、文字通り本気で。
ハードワーク続きで鉄のごとく凝り固まった肩を回しながら、強烈にそう思う。我が身にかかる"g"でこの腕と肩を引き延ばしたら、どれほど気持ちのいいものかと想像するだけでゾクゾクする。それくらい今日の私の肩の重さときたら半端ないのだ。
あいにく私の家には、ぶら下がる私の体重と身長を受け止めて余りあるX軸が存在しない。
娘が幼かった頃なら、公園で遊ばせながら高鉄棒に飛びつくこともできたし、学齢期には放課後の校庭で懸垂を教える振りをしてブラ〜ンとできた。まさか今となって公園や校庭の高鉄棒に、いい歳をした女が独りでぶら下がりに行くこともできない。
ねえ、一緒に行ってよ… 娘を誘っても即座にNO!が帰ってくる。AEONに誘えばいつでもホイホイついてくるくせにさ〜

明日晴れたら彼を誘って公園へ行こう!
ふと、私には御歳5歳のボーイフレンドがいたことを思い出す。
わ〜い♪子守をしてもらえる!と、彼のママも快く私たちのデートを許してくれるだろう。
そう思いついた途端、急にちょっとだけ軽くなったように感じた肩をぐりんと回す。さあ今夜ももうひと頑張りできそうだ。

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本日ご紹介の生地は、USA、Moda Fabrics社のSleepytimeシリーズの可愛らしい生地。実物は画面でご覧になるよりもっと優しいパステル調。この生地のために、新しいカテゴリ「キッズ」を追加してみました。ふんわりとあたたかそうなナイトウエアに包まれた動物たちを眺めていると、私もベッドが恋しくなってしまいます。
さて、もし彼が私を公園に連れて行ってくれたら、お礼にこの生地で絵本バッグでも作ってあげようかな、と考えています♪

蜘蛛の棲み処 [生地-ハロウィン]

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冷めてゆく、覚めてゆく。さまざまな幻が悉くひと息に。

歳を重ねてきた心は、硝子のようにパリンと音を立てては壊れない。
だからその耳には決して届かない。

サラサラと静かに崩れ落ちてゆく微細なカケラは、
両の手で掬い集めても元のかたちには戻せない。

けれどそれは掌の中で重みを増して、
すべてを寛容な愛想笑いに包んでまた向き合える気力を、私に与えてくれるだろう。
だからその目には決して映らない。私の憤りも失望も、蔑みさえも。

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本日ご紹介の生地は、USA、Timeless Treasures社の"Spiderwebs"。ハロウィン用に仕入れてあった生地ですが、季節外れの登場です。ハロウィンによく用いられるクモの巣のデザインは、主役のクモが思い切りユーモラスな姿をしていたり、ゾッとするほどリアルだったりさまざまです。この生地にはどこにも主の姿が見えません。ここを見捨ててもう去ってしまったのか、あるいはどこかに隠れて密かに獲物を待っているのか…

今宵モーツァルトと… [生地-音楽]

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「今日は気持ちが入っていないね」
はじき返された剣先に怯んだ瞬間、師に叱られる。
手元に力が入りすぎる、もっと顎を引きなさい、上体を倒しすぎ…と毎回いろいろなダメ出しをされているけれど、心のありようをダイレクトに指摘されたのは初めてのことだった。
柳生新陰流。週二度の稽古に休むことなく通い詰めている。


ここに来る1時間前・・・
捗らない仕事その他諸々に少々苛立って、目の前で所在なさそうに主の指示を待つMacのスロットインドライブにDVDを滑り込ませる。
モーツァルトはこんな精神状態の時に効く。陽気なハッピーエンドのオペラならなおさら。
椅子に深く座り直しディスプレイの映像と音楽に引き込まれて過ごすうち、あ、もう稽古に行く時間! ちょっと後ろ髪を引かれる思いで片付け、急いで支度をして車に乗り込む。
 W.A.モーツァルト、1756年生まれ。上泉伊勢守 信綱、1508年生まれ。
夕刻のラッシュの名残りの大通りを行けば、CVTのなめらかな加速に合わせるように、18世紀の欧州から16世紀の日本への気持ちのタイムトラベルも簡単にシフトできるはずだった。いつもの私なら…。
しんと冷え込む武道場に道着袴に着替えて立つ。袋竹刀を手にしても、今日はどうしたわけか耳の奥でまだ魔笛のアリアが響いている。

逃れたい夜がある。仕事から、日常から、ありとあらゆるすべてのことから。
「無」になって自分と向き合う武道は、そんな私には実に良い修行。でも簡単に「無」になんてなれない。
陽気な音符をゴージャスに散りばめた音楽で、ははん、と笑い飛ばして忘れてしまうほうがラクなときだってある。
気持ちが入っていないね…などとは二度と言わせまいと誓いつつ、今夜だけはゴメンなさい! 神聖なる武道場の真ん中で、自分を解き放つ呪文のように、私は「パ・パ・パ」を心の中で口ずさむ。

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本日ご紹介の生地は、USA、Timeless Treasures Fabrics社のMUSICシリーズから、偉大なる音楽家たちのプロフィール。画像をご覧になっただけではとても生地とは見えないと思われる方もいらっしゃることでしょう。大柄な生地で、モーツアルトのシルエットは高さが約7センチ。眺めていると楽しい生地ですが、では何に仕立てれば良いかとなるとなかなか思いつくものがなく、購入してから2年も生地のまま私の手元で出番待ちをしています。
大勢の大音楽家が勢揃いしているようですが、登場している顔ぶれは6人だけ。なぜ○○が入ってないの?△△も入れるべき!などと考えながら眺めては楽しんでいます。

魂の香り [生地-ハーブ&ボタニカル]

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10年ほど前からエゴイスト・プラチナムを愛用してきた。CHANELの男性用パルファム。
バリエーションが欲しいときは、最も敬愛している女性から戴いたJO MALONEのオレンジ・ブロッサムと重ねてみると、さらに背筋がシャンとなる私好みのオリジナルの香りになったりもした。
髪はきりりとショートカット、マニッシュな服装を好み、大股に歩く私には、プラチナムは違和感のないチョイスだった…と思う。

ところがちょうどキリの良い昨年の誕生日を境に、ちょっと女性らしい佇まいになるように私は服装をガラリと変えた。もう二度とはかないだろうと思っていたスカート、しかも若干短め。ずっと隠し続けてきた脚を晒し、折れそうなピンヒールのパンプスだってものすご〜く久しぶり!
そんなファッションにプラチナムは似合わない。さてフレグランスは何を纏う? 

ジャドールのバリエーション、白や緑のボトルの優しい系プアゾン、えっ?それってディズニーランドのアトラクション?と聞き返したくなるような名前を持つフルーティーなパルファム…
行きつけのコスメのカウンターで、フレグランスだけは何があっても絶対に変えないの!とビューティストに頑固に言い張ってきた私が、えへへ、と照れ笑いで前言を誤魔化して片っ端から試香させてもらう。ラストノートも要チェックだからムエットを持ち帰って吟味。でもどれも「私の香り」にはならない。香り選びに妥協ほどふさわしくないものはない。

結局これぞという候補が見つからないまま香水難民を続けていたある日、いい匂いがするね!と、娘が小犬のようにクンクンしながら抱きついてきた。
香水はつけていない。シャンプーも無香料。薫の君じゃあるまいしこの身から芳香が立ち上っているわけもない。
とすれば考えられるのは・・・ラベンダー
一年365日欠かすことなく眠りにつく枕元に漂わせ、仕事場にもクローゼットにもバッグの中にも私の暮らしにラベンダーの香りはいつも寄り添ってそこにある。南仏の風の中で育った紫のビロードのような蕾から採られた透明な精油や芳香蒸留水、あるいはカラリと晴れた夏の日に信州の高原で摘み採ってきて作ったドライフラワーやサシェ。
フレグランスを纏う、という意識さえすることなく、いつも私のまわりに当たり前のように漂っていた香り。
ときに安らぎを、ときに活力を、ときに深い嘆きにさえ耐える気力を与えて、いつも私を支えてくれた香り。

しばらくはこのまま、ラベンダーの香りだけに包まれて、あるがままの私で生きてみることにしよう。

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本日ご紹介の生地は、USA、RJR Fabrics社のThe Gathering Gardenシリーズから、正統派ボタニカルアートとも称するべきラベンダーとバラのプリント生地。The Gathering Gardenと名付けられたこの一連の生地には、花を愛する私にはついつい手が出てしまう素敵な柄がたくさんあります。ただ甘いだけではない優しさの香るラベンダーとバラの高貴な芳香、そのブレンドがリアルに想像できる私の大好きな一枚です。

ハナ ノ カンバセ [生地-フェミニン]

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もう何年くらいの付き合いになるだろう。
時に仕事のパートナーであったり、友人であったり、同志であったり、妹あるいは娘のようであったり、さまざまな関わり方で彼女は私の近くにいた。

硝子細工のように繊細な感性は、世間の軋轢の中でいとも簡単に傷ついた。仕事を変える。恋を手放す。心揺れる微妙なお年頃を彼女は藻掻きながら泳ぎ、迷いながら進み、ようやく今は居心地のいい岸辺に辿り着いて心穏やかに生きている。人さまよりちょっとばかり遅れてやってきた春が、彼女の佇む岸辺にとりどりの花を咲かせはじめている。

この花はみんな、悩み苦しむ日々の間に貴女が蒔いた種から芽吹いたもの。貴女自身が咲かせた花だと私は思うわよ…

「今夜は飲んでくださいね〜」と誘われて、女ふたりでグラス片手に四方山話。
きらきら輝く瞳で私を見つめながら、幸せにはそれぞれに違うカタチがあることを、身振り手振りを交えて語る。
しなやかさも強かさも味方につけて、今夜の貴女はどんな花より美しい。

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本日ご紹介の生地は、USA、Timeless Treasures社のNATURE。花々の間に憩うのはチョウの羽根を持つ妖精たち。かわいい系ではなく、成熟した女性の色香を漂わせるような…。表情もさることながら、若い女性らしい伸びやかな腕や脚のラインがとても美しく描かれています。大きめの柄なのでトートバッグにでも仕立て、春が来たら持って出かけてみましょうか。ちょっと注目を集めそうなユニークな生地です。

交差点にコブラ ?! [生地-生き物いろいろ]

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乾いたアスファルトの先の交差点、その真ん中あたりに何か黒っぽい固まりが見える。
他に走っている車の姿はない。私はゆっくりスピードを落としながら交差点に差しかかる。
不意に黒い固まりがぐにゃりと形を変え、威嚇するような眼光がすくっと立ち上がるように見えた。
ひぇ〜〜っ! あれはコブラだ!

・・・という夢を見た。
ここは日本の地方都市。本町1丁目の交差点にコブラなんかが出没するはずない。

「ヘビの夢を見たら宝くじを買うものよ。きっと当たるから!」と、かつて母は私に言った。
母の教えになんてまともに耳も貸さずにこの歳まで生きてきてしまったけれど、ここは素直に従ってみることにしよう。
折しもグリーンジャンボなるものも発売中。

連番で大きな夢に賭けるより、バラ10枚のそれぞれにささやかな夢を繋ぐ小心者。
母の教えが本当ならば、3週間後にはちょっと違う人生が待っているかもね、私 o(^^)o


・・・あれ? こういう話って、秘密にしてなくちゃ効き目がないって言ってたっけ?

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本日ご紹介の生地は、USA,Clothworks社、Laurel BurchのSecret Jungleシリーズからユニークスネーク柄。Laurelさんの描く強烈な色彩と不思議な構図のコットンプリントは大幅に好き嫌いが分かれるようで、実を言えば私はあまり手が出ない派なのですが、いったいこんな生地誰が何に使うの?!と思いつつ、好奇心からいつの間にか買ってしまいました。ユーモラスな表情のヘビ君たちが陽気な幸福という御利益を運んできてくれそうな気がして…

No return is necessary [生地-その他]

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行かないわけにはいかない。
久々に朝から夜までタイトなスケジュールで埋まっている一日であろうと、今日は今日。
繰り合わせた時間の合間をぬって、シートに収まりの悪い帯の背を気にしつつ車を飛ばす。

激しい風が、健気に春を待つケヤキの裸木を絶え間なく揺らし続ける。
足下に描かれたレースのような木漏れ日を目で追えば眩暈がするほどに。

外光が途切れる部屋の隅の空間あたりに、気づかれずに溶け込んでしまうのもいい。
ビターチョコのような深い地色の小紋、帯は錆び朱のアラベスク、あくまでも沈んだ色調で。
白い半襟にだけ、桜の刺繍で微かに春を薫らせて、視界の端の端にすっと静かに佇む。

ちょっと驚いた顔をなさいましたね? そう。それだけで充分。
私からの形のない贈り物が、あなたの手に渡った一瞬。
商業主義に踊らされることなく、この日を密やかに楽しめる大人の女でありたい。

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本日ご紹介の生地は、このブログ初登場のポリエステル。植物をモチーフにしたようなオリエンタル調の柄で、数年前にオークションで入手した国産生地です。大阪繊維業を営んでいらっしゃったという出展者の方には、この他にも50cm四方ほどの様々なサンプル生地をお譲りいただきました。その中でもこの生地は全く同じ柄でサテンのようなハリと光沢のある生地と薄いジョーゼット生地の2種類があり、組み合わせによって面白みのある作品ができそうだと大切にしていたものでした。今回和装用に小さなバッグを仕立ててみましたが、持ち手部分を変えれば洋装のセミフォーマルにも使えそうな、落ち着いた華やぎのある雰囲気に仕上がりました。

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